BLOG BLOG

肩こりの環境・医学要因と3つの対策|大阪市福島区海老江 林クリニック

2025.09.26

「肩こりで病院に行くのは大げさ?」

「頭痛もあってちょっと不安…」

最近はこうした疑問や不安を抱えて整形外科を受診される方も少なくありません。働き方や家庭環境の変化により、肩こりは多くの人にとって身近な症状となりました。しかし身近だからこそ、病院を頼っていいのかどうか悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事では、現代で肩こりに関心が集まっている背景や医学的な原因、整形外科での診療内容、さらに日常でできるセルフケアまでを紹介します。

この記事を読むとわかること

・肩こりの環境的・医学的な原因

・我慢せず整形外科に相談してほしい症状

・自宅で取り組めるセルフケアの方法

1. 肩こりで悩む人が多い2つの理由

肩こりに悩む人が増えている背景には、いったいどのような要因があるのでしょうか。

■理由1:デスクワークや在宅勤務による姿勢不良

現代では、多くの職種で「デスクワーク時間が長い」という傾向があります。また、特に在宅勤務では、椅子や机が身体に合わない、画面が低いなどの環境で、無意識のうちに無理な姿勢で作業を続けていることも少なくありません。

その結果、首や肩に過剰な負担がかかっています。

■理由2:家事や育児、介護で負担がかかるケース

子育て世代や介護を担う人も肩こりに悩まされがちです。抱っこや子どもに合わせた前かがみの姿勢、重い荷物の持ち運びなどは肩や首に負担を与えます。

介護では、抱き起こしや体位変換などの際に腕や肩に強い力がかかるほか、入浴や着替え介助などによる前かがみ姿勢が多いことが原因となります。

■肩こりは世代や性別を問わず多い症状

厚生労働省が2022(令和4)年度に実施した国民生活基礎調査の結果を紹介しましょう。

全世代を対象に症状別の自覚症状を尋ねたところ、「肩こり」は男性では2位、女性でも腰痛に次いで2位となっており、性別を問わず多くの人が肩こりに悩んでいることがわかります。

※参考:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」

2. 肩こりと関連する医学的な原因

とはいえ、ただの筋肉の疲れと病気に関連する痛みはなかなか自分では判断がつかないものです。ここでは肩こりを引き起こす代表的な医学的要因を3つ説明します。

■筋肉の緊張による血流不良

長時間同じ姿勢を続けていると筋肉がこわばり、血の流れが滞ります。

酸素や栄養が届きにくくなり、代謝産物の蓄積や筋緊張で痛みを感じやすくなります。

※参考:大阪府医師会「肩こり|げんき情報」

■スマホなどによる姿勢の乱れと頸椎(けいつい)・肩甲骨の関係

猫背やストレートネックは、頸椎(首の部分にある7つの骨)に大きな負担をかけます。

頸椎には、頭を支えたり動かしたりする役割があります。ストレートネック(いわゆるスマホ首)になると、頸椎の自然なカーブが失われ、動きが制限されてしまいます。

その影響で肩甲骨の可動域も狭まり、肩こりが慢性化しやすくなります。

■頸椎症や椎間板ヘルニアといった病気が隠れている場合も

一見、よくある肩こりに見えても、「頸椎症」や「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」などの病気が潜んでいることもあります。

頸椎症は、首の骨や椎間板が年齢とともに変形し、神経を圧迫して痛みやしびれを生じる病気です。

ヘルニアというと腰を想像しがちですが、首(頸椎)に起こる「頸椎椎間板ヘルニア」も存在します。首の骨の間にある椎間板が飛び出して神経を刺激し、腕や手にしびれや痛みを引き起こすのです。

しびれや強い痛みを伴う場合は早めに医療機関へ相談しましょう。

※参考:日本整形外科学会「頚椎症性神経根症」

3. 整形外科で行う肩こりの診断と治療

整形外科では肩こりの症状の背景を次のような流れで調べ、一人ひとりに合った治療を提案します。

■問診・画像検査で原因を究明

まずは問診で、症状の経過や生活習慣についての情報を整理します。

そのうえで、必要に応じてX線(レントゲン)撮影やMRI検査により明確な原因があるかどうかを画像から判断します。X線では骨の形や並びを、MRIでは椎間板や神経などの軟らかい組織の状態を確認します。

■薬物療法(湿布・内服薬)と物理療法

肩こりが強い場合にはまずは湿布薬、痛みが強いときは鎮痛剤などで様子を見ます。

さらに、電気治療や温熱療法などの物理的な治療法で血流改善を図ることもあります。患部に対し、電気治療では微弱な電流を流して筋肉を刺激し、温熱療法では専用の器具や治療器で温めます。

■リハビリでのストレッチ指導や運動療法

正しい姿勢や体の動かし方を学ぶことも大切です。理学療法士によるリハビリでは、ストレッチや筋力トレーニングを通じて肩こりの再発予防をめざします。

リハビリは整形外科医の診断と指示のもと、理学療法士が一人ひとりに合わせたプログラムを組んで指導していきます。

4. 環境・生活習慣改善、ストレッチなど肩こり予防策3選

生活習慣の見直しとセルフケアは、肩こり対策の第一歩です。いまからできる方法を3つ紹介しましょう。

①デスクワーク中の正しい姿勢と環境づくり

机と椅子の高さを調整し、画面を目線の高さに置くことが基本です。加えて、画面の角度や照明の明るさを整えることも、肩こりの予防につながります。

1時間に1度など、定期的に姿勢を変えてこまめに動くと、特定の筋肉の負担を和らげられます。

※参考:日本人間工学会「在宅ワークにおける人間工学的ガイドライン」(PDF)

②家でできる簡単ストレッチ

ストレッチも効果的です。肩をすくめて下ろす動作や、肩甲骨を寄せる運動は血流の改善につながります。

入浴後など体が温まった状態で行うと、筋がより伸びやすいとされています。

肩回しや胸を広げる動きを含むため、ラジオ体操も手軽でおすすめです。座ったままでも可能ですので、動画などを参考に取り入れてみてください。

※参考:全国ラジオ体操連盟「【ラジオ体操第1】立位と座位」(動画)

③睡眠・運動習慣・栄養

十分な睡眠、軽い運動習慣、栄養バランスの整った食事も肩こり予防の基本です。無理のない範囲で生活習慣を整えていきましょう。

肩こりの治療・相談も、大阪市福島区海老江の林クリニック

本記事は、大阪市福島区海老江にある「林クリニック」林為仁医師の監修のもと作成されています。

当院は地域の頼れる整形外科として、運動器疾患に幅広く対応し、一人ひとりに合った治療を提案しています。肩こりや腰痛でお悩みの際も、どうぞお気軽にご相談ください。