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RSウイルスとは?流行時期と家庭での感染予防策|大阪市福島区海老江 林クリニック

2025.11.30

「子どもの鼻水がなかなか治らないけど、ただの風邪?」

「夜になると咳き込んで眠れない…もしかしてRSウイルス?」

子どもは成長の過程で多くの感染症にかかりますが、保護者は毎回心配になるものです。RSウイルス感染症は毎年流行する呼吸器感染症で、重症化すると肺炎や細気管支炎を引き起こすおそれもあります。

本記事では、RSウイルスの特徴や症状、受診のタイミング、家庭でできる予防法について解説します。

この記事を読むとわかること

・年齢別に異なるRSウイルス感染症の症状と重症化のサイン

・医療機関を受診すべきタイミング

・家庭でできる感染対策のポイント

1. RSウイルス感染症とは?乳幼児の重症化に注意が必要な理由

小さな子どもがかかりやすい呼吸器感染症のひとつが「RSウイルス感染症」です。風邪に似ていますが、症状の現れ方や重症化リスクに違いがあります。

■RSウイルスの特徴と流行時期:秋・冬に注意

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、ほとんどの子どもが2歳までに一度は感染します。主な流行期は秋から冬ですが、地域によっては夏の終わりごろから報告が増えます。

感染すると鼻水や咳、発熱などの風邪に似た症状が出ます。

乳児では呼吸が苦しくなったり、ミルクを飲めなくなったりと、重症化するケースがあります。一度感染しても十分な免疫がつかないため再感染する場合があり、大人や高齢者から感染するケースもみられます。

※参考:厚生労働省「RSウイルス感染

    大阪府「RSウイルス感染症について」

■潜伏期間と2つの感染経路:飛沫感染・接触感染

RSウイルスは咳やくしゃみの飛沫を吸い込む「飛沫感染」と、手やおもちゃなどを介した「接触感染」で広がります。

潜伏期間は2~8日程度で、発症直前〜発症初期が最も感染力が強いことが知られています。

■年齢別の特徴:特に生後6カ月未満や基礎疾患を持つ子は注意を

乳幼児では細気管支炎や肺炎を起こしやすく、ゼーゼーという呼吸音や顔色の変化が見られることがあります。

一方、学童期以降や大人では軽い風邪で済む傾向が多いですが、基礎疾患を持つ高齢者では重症化する例もあります。

特に生後6か月未満の赤ちゃんや早産児、心臓・肺疾患を持つ子どもは注意が必要です。

2.「ただの風邪」とどう違う? RSウイルスの症状と見分け方

RSウイルスは風邪に似ているため、初期段階では見分けがつきにくいのが特徴です。ではどのように気をつければよいのでしょうか。

■乳幼児に多い、細気管支炎・肺炎の3つのサイン

初期は鼻水、くしゃみ、咳といった普通の風邪の症状が現れます。しかし進行すると次のような変化が見られます。

・呼吸が早く浅い(ゼーゼー・ヒューヒューという音)

・ミルクや母乳を飲む量が減る

・顔色が悪い、唇が紫がかっている

これらは細気管支炎や肺炎のサインで、すぐに受診が必要です。

特に夜間に咳がひどくなる、息をするたびに胸がへこむ(陥没呼吸)といった症状が見られる場合は注意してください。

■大人・高齢者・妊婦の症状の出方

大人や妊婦では軽い鼻風邪程度で済む人も多いですが、発熱や喉の痛み、だるさを感じることもあります。

高齢者や免疫力が低下している人は、気管支炎や肺炎を発症するおそれがあります。咳が長引く、息苦しさを感じるといった場合は早めに医療機関へご相談ください。

3. 受診の目安:こんなときは迷わず医療機関へ

RSウイルスは急に症状が悪化するケースがあるため、こまめに様子を見て、異変を感じたら早めに受診しましょう。乳幼児でも高齢者でも共通です。

■呼吸の異常が見られたら:夜間・休日の相談窓口(#8000)

2章で紹介した「細気管支炎や肺炎のサイン」があれば、早めに受診しましょう。

また、早産児や心疾患・慢性肺疾患など基礎疾患のある子どもでは、軽症に見えても早めの相談をおすすめします。

休日や夜間の場合は、地域の小児救急窓口(#8000)に連絡をして指示を受けるとよいでしょう。

※参考:大阪府「小児救急電話相談(#8000)について」

    大阪市 休日・夜間急病診療所(内科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科)、休日・夜間緊急歯科診療所

■受診前にメモしておきたい4つの項目

受診時には、次の情報をメモして持参すると診察がスムーズです。

✓発症からの日数・症状の経過

✓発熱の有無と最高体温

✓咳や鼻水の状態、哺乳・食事量

✓家庭や園での感染状況

また、ウイルスの拡散を防ぐため、マスクを着用するなどで咳エチケットを守りましょう。

4. 家庭でできるRSウイルス予防・感染対策

RSウイルスは感染力が強く、家庭内で広がりやすいウイルスです。家族全員で対策するのが重症化を防ぐポイントになります。

■看病の基本は「加湿・こまめな水分補給・安静」

室内の湿度を50~60%に保ち、乾燥を防ぎます。

咳や鼻水が出ているときはこまめに水分をとって喉を潤しましょう。熱があるときは無理に食べさせず、ゼリーやスープなど食べやすいものを選んでください。

安静や十分な睡眠と休養も回復の助けになります。

■マスク着用、手洗い、ドアノブやおもちゃの消毒など…家族への感染を防ぐ工夫

RSウイルスは物の表面に数時間残るため、ドアノブ、テーブル、おもちゃなどは定期的に消毒しましょう。手洗いは石けんと流水で20秒以上を目安に行い、タオルの共用は避けてください。

兄弟姉妹がいる場合は、可能な範囲で別の部屋で過ごすなど、接触を減らす工夫も効果的です。

■保育園・幼稚園および大人の職場復帰の目安

症状が落ち着いて咳や鼻水が減ってきたら園・学校の決まりに従って登園・登校が可能です。一般的には、「解熱後24時間以上経過している状態」を目安にすることが多いです。

ウイルスは数日~2週間ほど排出されるため、完全に感染力がなくなるわけではありません(個人差あり)。

咳が残っている間はマスクを着用し、体調に不安があるときは再度の受診も検討してください。

RSウイルス感染症の検査・相談は、大阪市福島区海老江の林クリニック

本記事は、大阪市福島区海老江にある「林クリニック」林為仁医師の監修のもと作成されています。

小児科・内科ではRSウイルスをはじめとする呼吸器感染症を多く診療しています。発熱や咳、呼吸の異常など気になる症状があるときは、無理をせず早めにご相談ください。

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