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突然の嘔吐・下痢はノロ?注意すべき4つのケース|大阪市福島区海老江 林クリニック

2025.10.15

「突然の嘔吐や下痢…これってノロウイルス?」

「家族や周囲の人にうつさないために、今なにをすればいい?」

ノロウイルスによる急性胃腸炎は、秋冬の季節を中心に発生します。特に都市部は集団生活・飲食の場で感染が広がりやすい傾向があります。

本記事では、ノロウイルスによる症状や家庭でできる感染時の初期対応、受診の目安について解説します。

この記事を読むとわかること

・ノロウイルスの主な症状と経過の特徴

・自宅での応急処置とシーン別感染拡大対策の基本

・早めの受診が必要になる4つのケース

1. 【基礎知識】ノロウイルスの症状・潜伏期間と感染の広がり方

ノロウイルスは胃腸炎の原因となる代表的なウイルスです。まずはその特徴や感染経路などを理解しておきましょう。

■ノロウイルスとは?基本情報と症状

ノロウイルスは少量でも感染し、嘔吐や下痢を中心に強い症状を引き起こすのが特徴です。

潜伏期間が24〜48時間と短いため、「突然具合が悪くなった」と感じる場合がほとんど。通常は数日で自然に回復しますが、乳幼児や高齢者は脱水により重症化することがあり、注意が必要です。

■ノロウイルスが流行する季節と感染経路

毎年秋から冬にかけて流行が強まり、学校や保育・介護施設、飲食の場などでの集団感染が起こります。

感染した人の便や嘔吐物を介して広がります。現場だけでなくドアノブや手すりなど日常の接触物からも伝播します。

ウイルスは回復後もしばらく排出され続けるため、症状が収まったあとも油断できません。

■地域ごとの流行傾向・最新情報の入手方法

大阪市や大阪府の感染症情報サイトでは、ノロウイルスを含む感染性胃腸炎の、週ごとの流行状況や注意報が発表されています。

学校や保育所に対して通知される警戒情報も、地域全体で参考にしてください。

※参考:

大阪府感染症情報センター「感染性胃腸炎の発生状況」

大阪市「感染症発生動向調査」

2. 感染かも?と思ったら…セルフチェック項目と注意すべき4つのケース

 ノロウイルスは症状が出るのが急なうえに感染力が強いため、感染が疑われるときには早めに行動するのが重要です。

■「もしかしてノロウイルス?」と思ったときのセルフチェック2項目

突然の吐き気や下痢が始まったら、原因がノロウイルスかどうかの判断の目安となるポイントは次の2つです。

(1) 12〜48時間以内に複数回の水様便や嘔吐あるか

(2) 同居家族や職場・学校で同じ症状が広がっていないか

アサリやホタテなどの二枚貝を加熱不足で食べた後や、感染者の対応後に手洗いが不十分だった場合もリスクが高まります。

■【緊急度チェック】早めの受診が必要な4つのケース

多くの場合は数日で自然に回復しますが、次のような場合は早めに医療機関へ相談してください。

①水分がほとんどとれず、尿の量が極端に減っているとき

②高熱や血便がみられるとき

③強い腹痛があるか、ぐったりして反応が弱いとき

④乳幼児や高齢者・基礎疾患のある人で、症状が続くとき

※参考:大阪市 突然の病気やケガで困ったら

■脱水症状に要注意、家庭での応急処置の基本は「食事・水分補給・安静」

症状が出たあとは、まず体力の回復を優先し、消化にやさしい食事と十分な水分補給、そして安静が大切です。食欲がなければ無理をせず、水分を少量ずつこまめにとりましょう。

同時に家庭内での感染拡大を防がなければなりません。本人も家族も、石けんと流水での手洗いを徹底します。

嘔吐物などで汚れた衣類はすぐに密封し、次の章で述べる方法で消毒してください。

3. 【家庭・店舗・施設】感染拡大を防ぐ消毒・予防策

ノロウイルスの感染拡大を防ぐには、場所ごとに適した対策が必要です。

■【家庭】嘔吐物・便の処理と消毒

家庭内では嘔吐物や便の処理が最大の感染源。処理時には手袋とマスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウムで床やトイレを拭き取りましょう。エタノールはノロウイルスに対しては十分な効果が報告されていません。

ウイルスが付着した衣類や寝具は、袋などに密封のうえ、85℃以上の熱湯に90秒以上浸す、市販の漂白剤に浸けるなどで消毒処理をします。

接触感染を防ぐため、ドアノブや水道の蛇口、リモコンなど共用部分もふき取りましょう。

■【飲食店】日頃の衛生管理と従業員教育が鍵

飲食店では、対処法以前に、日頃の従業員の健康管理と衛生教育が重要です。

従業員の体調は毎日記録に残しておきましょう。問題発生時の保健所への報告や、再発防止に役立ちます。胃腸炎の症状がある人を出勤させてはいけません。

食材では、特にカキなどの二枚貝の取り扱いに注意が必要です。厚生労働省のガイドラインでは「中心温度85〜90℃」で「90秒以上」の加熱が推奨されています。

また調理器具は共用を避け、「生もの用」と「加熱食品用」で分けるなどもリスク低減に有効です。

※参考:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」

■ 【保育・介護施設】集団感染を防ぐ「ゾーニング」と職員の体制づくり

保育や介護施設など集団生活の場では、発症者の居室やトイレを分ける「ゾーニング」が有効です。

スタッフがすぐ使える嘔吐物処理用の防護具を準備しておきましょう。対応チームをあらかじめ決めておくと、いざというときも混乱が起こりません。

感染者は、施設の就業規則や行政指針にしたがって、一定期間は自宅待機とします。職員と家族の間でも、症状や流行について密に情報共有しておくのが大切です。

※参考:大阪府「介護保険施設等の感染症及び食中毒、衛生関係について」

ノロウイルスかも?と感じたら、大阪市福島区海老江の林クリニック

本記事は、大阪市福島区海老江にある「林クリニック」林為仁医師の監修のもと作成されています。

当院は、一般内科として、嘔吐・下痢などの症状に応じた診察や検査が可能です。小児科診療および高齢者医療にも注力しています。感染性胃腸炎が疑われる症状でお困りのときは、一度受診をご検討ください。

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