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これって熱中症? 注意すべき症状|大阪市福島区海老江 林クリニック

2025.07.31

「帰ってきた子どもが急にぐったり…これって熱中症の初期症状?」

「熱中症対策は水だけじゃダメなの? 何を飲ませればいい?」

「高齢の親が冷房を嫌うけど、データで危険性を説明したい」

毎年酷暑が続き、熱中症の被害について見聞きすることが増えました。特に大阪市福島区のような都市部では、気温上昇に加えてアスファルトの照り返しが体感温度を高め、子どもや高齢者の熱中症リスクが増加します。

本記事では、熱中症の段階的症状から家庭での正しい対処法、そして受診のタイミングまでを解説します。

この記事を読むとわかること

  • 熱中症の初期症状から重症化のサイン
  • 家庭でできる正しい応急処置と注意点
  • 病院に行くべきかどうかの判断基準

1. 熱中症とは? 誰でもなる可能性がある身近なリスク

まずは熱中症の仕組みや、気を付けたい時期・状況などについて解説します。

熱中症の仕組みと原因

熱中症は、体温調節のしくみが追いつかず、体内に熱がこもる状態のこと。高温・多湿の環境や激しい運動、脱水状態で発症しやすくなります。気づかないうちに体内の水分や塩分が減り、体温が上昇すると症状が現われます。

■参考:環境省:熱中症予防情報サイト「熱中症の予防方法と対処方法」

現代では5月の連休前から熱中症対策が必要

日本赤十字社は、2024年の段階で5月においても既に全国で 2,799人 の熱中症搬送が確認されたことを受け、本格的な夏が到来する前(5月の連休前)から熱中症対策が必要だと注意喚起しています。

■参考:

令和6年5月の熱中症による救急搬送状況(総務省、2024)

熱中症への意識・対策を始める時期は「7月」が最多 ~暑さに体を慣れさせておく『暑熱順化』の認知度、知らない人は9割近くに~(日本赤十字社、2025)

「屋外だけじゃない」室内熱中症の盲点

また、冷房がない部屋や使っていない部屋では、室内でも熱中症が発生します。

大阪府監察医事務所によると、2024年5〜9月には熱中症による87人の死亡例があり、そのうち約85%は、エアコンを使用していない自宅内での発症でした。

特に高齢者や乳幼児のいる家庭では、エアコンや扇風機を活用して室温・湿度を正しく管理しなければなりません。

■参考:大阪府:2024年熱中症死亡例に関する統計

2. 熱中症の初期症状から重症化までのサイン

熱中症には、軽度から重度まで段階があり、以下のような症状からその状態を見極めます。

  • 軽度(I度)
    • めまい、立ちくらみ
    • 筋肉がつりやすい(こむら返り)
    • 大量に汗をかく
  • 中等度(II度)
    • 頭痛、吐き気がある
    • 体がだるく力が入らない
    • 意識はあるが調子がぼんやり
  • 重度(III度)
    • 意識がもうろうとして応答が鈍い
    • けいれんを起こす
    • 体温が40℃以上に上がる

■参考:日本救急医学会「熱中症ガイドライン2024」(PDF)

3. 家庭や現場でできる応急処置と「やってはいけない」行動

軽度の熱中症が疑われる際に、その場でできる処置についてまとめました。

応急処置の基本ステップ:移動・冷却・水分補給

熱中症が疑われたら、まず日陰やエアコンの効いた室内など、涼しい場所に移動させましょう。衣服を緩め、首やわきの下、太ももの付け根などを保冷剤や濡れタオルで冷やすと効果的です。

意識がある場合は、スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給します。一気にではなく、少量ずつ与えるのが安全です。

家庭での注意点:冷却グッズの使い方と危険な処置

氷や保冷剤は布で包んで使用し、肌に直接当てないようにします。

急に冷たい水に入ったり浴びたりする方法は、体に負担をかけるため避けましょう。冷房も設定温度や風向きを調整し、冷やしすぎには注意が必要です。

子ども・高齢者・屋外労働者への応用ポイント

特に子どもは自覚症状が出にくいため、顔色や行動をよく観察し、こまめに水分補給させましょう。また、高齢者は自分でも暑さを感じにくいため、第三者による室温管理や声かけも大切です。

屋外作業者に対しては休憩時間や場所、水分補給の方法を事前に確保・周知して冷却対策を徹底し、仲間同士で体調を確認し合うことが重要です。

4. 病院に行くべきか?判断の分かれ目

自宅や現場で判断に迷った場合、以下のポイントをチェックしてみることをおすすめします。

自宅対応で様子を見られるケース

症状が軽い立ちくらみやこむら返り程度で、水分補給後に回復する場合は、自宅でしばらく経過観察しましょう。とはいえ回復したからといって、すぐに身体に負担がかかる活動を始めるのは控えてください。

すぐに医療機関にかかるべき症状

頭痛や吐き気、だるさが続く、返答が遅いなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。診断後、点滴や冷却など医療処置により、重症化を防ぎます。

救急車を呼ぶべきか迷ったときの判断基準

意識がない、けいれんがある、体温が40℃以上の場合は迷わず緊急対応が必要です。判断に迷ったときには下記の救急相談窓口か医療機関に連絡し、指示を仰いでください。

救急安心センターおおさか

携帯・固定電話とも「#7119」または「06-6582-7119」です。

■参考:大阪市 突然の病気やケガで困ったら

熱中症の兆候があったら、大阪市福島区海老江の内科・林クリニック

本記事は、大阪市福島区海老江にある「林クリニック」林為仁医師の監修のもと作成されています。

熱中症は早期の対応が重症化を防ぐ鍵です。当院では、内科・小児科を通じて幅広い年代の熱中症症状に対し、診察のうえ必要があれば点滴などの処置を行います。「少しおかしいかも」と思った時には、一度お問い合わせください。