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糖尿病の基礎知識と治療の3本柱:食事・運動・薬物療法|大阪市福島区海老江 林クリニック

2025.10.27

「健康診断でHbA1cが高いと言われたけど、これって糖尿病の予兆…?」
「何科に行けばいい?内科と専門外来の違いは?」

糖尿病は、有病者・予備群ともに多い、日本人にとって身近な病気の1つです。傾向を示す数値だけに振り回されず、早めに相談して生活と治療の両輪を整えることが大事です。

本記事では、「自覚症状が少ない」疾患とされる糖尿病のサインや発覚の具体的なきっかけ、診断後の通院の流れなどについて、丁寧に解説します。

この記事を読むとわかること

・糖尿病の基礎知識と初期のサイン
・発覚につながる主な場面
・診断後の通院・治療の具体的な流れ

1. 糖尿病は日本人にとって身近な生活習慣病 – 知っておきたい基礎知識

まずは糖尿病についての基礎知識を知っておきましょう。

■ 日本の糖尿病患者数と予備群は約2,000万人

厚生労働省の2023年の調査では、糖尿病が強く疑われる人が約1,000万人、その予備群も約1,000万人とされ、その合計は約2,000万人にのぼります。これは日本人の「6人に1人」の割合です。治療中は約550万人とされ、近年の割合の変化を見てもほぼ横ばいです。

また、2025年の国際糖尿病連合の推計でも、世界で約5億8,900万人の成人が糖尿病を患っており、そのうち約2億5,200万人は「自分が糖尿病であると気づいていない」と発表されました。

※参考:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」

国際糖尿病連合(IDF)「Diabetes Atlas 2025」

■糖尿病は初期症状が出にくい「沈黙の病気」

日本で多くを占める「2型糖尿病」は、生活習慣と深く関係しています。また糖尿病は、初期症状が出にくい「沈黙の病気」として知られ、初期は無症状であることが多いです。

早い段階で習慣を整えるほど、将来の合併症リスクを下げられます。かかりつけの内科とともに生活習慣病予防に励み、もしリスクが発見されたら専門機関と連携するのがおすすめです。

2. 要注意:糖尿病が発覚する4つの主なきっかけ

サインの見逃しや初期診断の遅れを減らすために、次のような場面に注意しましょう。

糖尿病発覚のきっかけ① 健康診断・人間ドック

健康診断で「空腹時血糖」や「HbA1c(過去1~2か月の血糖の平均値)」が基準より高く出ていたら、糖の代謝がうまくいっていないサインかもしれません。

1回の検査だけでは判断できないことも多いため、再検査や「糖負荷試験」などを勧められることがあります。

※基準値は検査施設によって多少異なります。

糖尿病発覚のきっかけ② 風邪や胃腸炎で受けた血液検査

風邪や胃腸炎などで受診したときに、脱水や炎症の状態を調べるために採血が行われることがあります。その検査で、血糖値の高さや尿糖を指摘されることも少なくありません。

 薬の影響や一時的な体調変化で上がることもあるため、念のため早めに医師に相談して、再検査を受けると良いでしょう。

糖尿病発覚のきっかけ③ のどの渇き・頻尿・体重減少などの自覚症状

自覚症状として、「強いのどの渇き」「夜間の頻尿」「食べているのに痩せる」「疲れやすい」「視界がかすむ」などの症状がある場合、背景には「血糖コントロールの乱れ」が潜んでいる可能性があります。

糖尿病発覚のきっかけ④ 糖尿病合併症(網膜症・腎症)からの逆引き

さらに、合併症から逆引きで糖尿病が見つかることもあります。

眼科で眼底出血やむくみ(網膜の異常)を指摘されるケース(=「糖尿病網膜症」の初期症状)。視力低下の自覚がなくても、花粉症などで受けた眼底検査がきっかけになることもあります。

また、健診で血糖やHbA1cが基準内でも、「尿アルブミン」や「蛋白」の陽性、「eGFR」の低下を指摘されるケース。これは「糖尿病腎症」の初期変化に相当する現象です。

3. 糖尿病と診断された後の通院治療の具体的な流れ

糖尿病の治療は「数値を下げること」だけでなく、生活の中で「無理なく続けられること」を整えるプロセスです。

■初診の検査内容(血液・尿・合併症チェック)

初診では、以下のような検査と問診を通じ、現在の身体の状態を医師が多角的に確認します。

・血液検査(血糖、HbA1c、脂質、肝腎機能)
・尿検査(尿糖・蛋白)
・血圧・体重・腹囲、足の状態(しびれ・皮膚)
・必要に応じ、合併症チェック(眼底検査、腎機能指標 など)


 

結果と生活背景を考慮して、改善目標(例えばHbA1cの管理目標)を決めて共有します。

■糖尿病治療の3本柱:食事療法・運動療法・薬物療法

糖尿病の治療には、食事・運動・薬の3つのアプローチが必要です。

食事面では「量・質・タイミング」を整え、そこへ無理のない運動(有酸素+筋力)を組み合わせます。

薬物は一般的には内服薬から始め、効果やリスクなどを確認しつつ、少しずつ内容や量を調整していきます。必要があれば注射薬(GLP-1受容体作動薬やインスリン)を検討します。

※参考:日本糖尿病学会「2型糖尿病はどのように治療するのか?」

■通院頻度は、初期では月1回が目安

通院治療であれば、開始直後から安定まで「月1回」程度、その後は「2~3か月ごと」の受診が目安です。

通院計画は、体調変化や、個人のライフイベント(転居や妊娠など)などに応じて柔軟に見直します。かかりつけ医に相談してください。

4.高齢者や妊娠中などライフステージに合わせた糖尿病ケアのポイント

■高齢者の糖尿病管理の鍵は「低血糖予防」と「体力維持」

糖尿病の高齢者は、筋力の低下や腎機能の変化、服用中の薬の影響などから、「血糖を下げすぎないこと」が大切です。低血糖が転倒や意識障害を招くこともあるためです。

また、筋肉量があると血糖コントロールが安定しやすくなるため、無理のない運動と十分な栄養管理がポイントです。

■妊娠中にホルモン変化で血糖が上がることも

妊娠中はホルモンの影響で血糖が上がりやすく、妊娠前に異常がなくても妊娠糖尿病になることがあります。

妊娠を希望する段階から生活習慣を整えておくと、より安心して出産を迎えられます。

糖尿病の相談・管理も、大阪市福島区海老江の林クリニック

本記事は、大阪市福島区海老江にある「林クリニック」林為仁医師の監修のもと作成されています。

地域の基幹病院・専門外来と連携し、必要に応じて眼科・腎臓内科・フットケア等へ紹介します。「健康診断の結果が少し心配」「気になる症状がある」など、どの段階でもお気軽にご相談ください。

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