認知症かも?と感じたら…初期症状や相談の流れ|大阪市福島区海老江 林クリニック
2025.08.29「最近、親の物忘れが気になる」
「また同じ話を何度も繰り返しいているかも…?」
日常の小さな違和感から、認知症への不安が始まることがあります。本人はもちろん、家族にとっても「いつ」「誰に」相談すべきかは悩ましい問題です。
この記事では、認知症の初期症状の見分け方や地域の医療機関の役割などを解説します。いざという時の行動のヒントとしてご活用ください。
この記事を読むとわかること
・認知症の初期症状と、物忘れとの違い
・医療ガイドラインや統計に基づく初期症例の具体的な傾向
・大阪市で在宅介護サービスを受けるための流れ
1. 「これって認知症?」と感じたときに知っておきたい初期症状
まずは認知症がどのような症状から始まるのかを確認しておきましょう。

■年齢による物忘れと、認知症の兆候はどう違う?
「最近忘れっぽいけど年齢のせいかな…」と感じることは誰にでもありますが、加齢による物忘れと、軽度の記憶障害(MCI)には違いがあります。
例えば「人の名前がすぐに出てこないけれど、しばらくすると思い出す」のは、加齢に伴う物忘れの事例です。また、同じ話を繰り返すことがあっても、周囲の指摘ですぐに思い出せるようであれば、大きな問題ではありません。
一方で、「話したこと自体を覚えていない」「手帳やメモを見ても予定が思い出せない」などが頻繁に起こる場合は、軽度認知障害(MCI)の可能性も考えられます。
日常生活に特に大きな支障がなくても、認知症のリスクが高まる段階とも考えられます。
■判断力低下・予定忘れなど、ちょっとした行動や言動の変化にも注意
認知症の初期症状は、記憶だけでなく判断力の低下や行動の変化としても現れます。
買い物で同じ商品を何度も購入したり、ゴミ出しの日を間違えたり、財布や鍵の置き場所を頻繁に忘れたり…そうした日常生活に小さな支障が出始めます。
また、道順を間違える、簡単な計算に戸惑う、服の着方を間違えるなど、普段は問題なくできていたことにミスが増えてきた場合も、判断力や認知機能の変化が影響している可能性があります。
こうした変化は本人では気づきにくいため、家族や周囲の人が「いつもと違う」と感じたときに早めに動くことが重要です。
2. 具体的な症例と相談のきっかけ・傾向
次に、初期症状や外部への相談につながるまでの一般的な傾向について、統計などにもとづいて説明します。
■「認知症医療ガイドライン」に基づく初期の症状パターン
認知症の初期症状は多様で、日常生活の中にさりげなく現れます。医療学会で紹介されている症例の中には、例えば以下のような行動の変化が見られます。
・道に迷いやすくなる(見当識障害)
・買い物で何を買うか忘れ、同じ物を何度も購入(記憶・遂行機能の障害)
・電子レンジを使えず操作に戸惑う(実行機能の低下)
・服のボタンをかけ違える(視空間認知の障害)
・会話中に言葉が出てこず、表現が曖昧になる(言語障害)
参考:日本神経学会「認知症診療ガイドライン2017」第2章(PDF)
■いつ・誰が・何をきっかけに外部に相談したか
やや古いデータですが、公益社団法人「認知症の人と家族の会」による「認知症疾患の診断と治療に関する調査報告書(2014年)」によると、認知症の初期変化に最初に気づいたのは「家族」が73.3%と最も多く、本人はわずか4.3%に留まりました。
主なきっかけは、「忘れ物や置き忘れの頻発」(74.6%)、「時間や日付がわからなくなる」(52.9%)、「家事や仕事の失敗」(46.7%)などです。
また、変化に気づいてから医療機関を受診するまでに、半年〜1年以上かかるケースも少なくないと報告されています。
参考:認知症の人と家族の会「認知症疾患の診断と治療に関するアンケート調査報告書(2014年)」(PDF)
■相談先としてクリニックの役割
「まだ様子を見てもいいかな…」と思いがちな初期段階でも、まずは一度外部へ相談してみることが、将来の備えにもつながります。
地域のクリニックも、本人やご家族にとって安心できるファーストステップとして、多くの方に活用されています。必要に応じて専門機関や自治体と連携し、家族をサポートします。
3. 大阪市で居宅介護サービスを受けるには
最後に、大阪市で居宅介護サービスを利用するための流れなどを確認しておきましょう。

■大阪府の調査結果から見る「できるだけ自宅で生活したい」…高まる在宅支援のニーズ
大阪府が実施した「高齢者の生活実態と介護サービス等に関する意識調査」によると、認知症になった場合に「居宅介護サービスを受けながら、自宅での生活を続けたい」と回答した高齢者は 48.8% にのぼります。
参考:高齢者の生活実態と介護サービス等に関する意識調査報告書【令和4年度実施分】
■大阪市で居宅介護サービスを受ける制度と手続きの流れ
大阪市内で居宅介護サービスを受けるには、以下のような流れで手続きなどを行いましょう。
①介護保険の申請と認定:区役所で介護保険を申請し、要支援・要介護の認定を受ける。
②ケアマネジャーの選定:認定後、ケアマネが介護サービスの計画(ケアプラン)を作成。
③地域包括支援センターの支援:要支援1または2の場合、「地域包括支援センター」が相談窓口。
④在宅サービスの導入:状況に応じ、訪問介護・デイサービス・福祉用具などを利用。
⑤医療機関との連携:地域のクリニックと連携し、医療と介護の両面から支援。
これらに加え、家庭側で住環境の整備や見守り体制を整えることが、継続的な支援の鍵となります。
認知症についてのご相談は、大阪市福島区海老江の林クリニック
本記事は、大阪市福島区海老江にある「林クリニック」林為仁医師の監修のもと作成されています。
当院は、認知症の初期症状に関するご相談も地域の皆さまから受け付けています。ご本人やご家族の状況をうかがい、必要に応じて医療・介護の支援体制へつなげます。身近な相談先として、小さな気づきでも、まずはお気軽にご相談ください。